科学論文: 英語の「強い」表現、かっこいい単語

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2018/09/16 更新


このページの目次

  1. 概要: 強い表現とは
  2. かっこいい単語
  3. 論文で使われるラテン語表現
  4. 実際の表現集: 原著論文

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概要: 強い表現とは

論文を書く際には、ときに 研究の significance を強い表現で述べる ことが必要になる。とくに、インパクトファクターの高い雑誌に投稿する場合の カバーレター や、研究費の申請書などでこの傾向が顕著である。

このページでは、自分が出会った強い表現についてまとめる。上級技なので、時と場合を十分に考慮した上で使って欲しい。

ひとつ注意したいことは、strong な表現とは誇張のことではない ということである。データから suggest されることを、まるで証明した事実であるかのように書いても、専門家が読めばすぐに誇張とわかるので、発見の価値を高めることには繋がらない。この点、間違えないよう気をつけたい。


かっこいい単語

多分に主観が入っているが、かっこいい単語を表にまとめる。ものによっては論文には不適で、むしろ推薦状に使われる単語である場合もあるかもしれない。

また、こういった単語の乱用は 本来、科学とはかけ離れたものである ことを忘れないようにしたい。論文の Abstract 中における novel の数は医学系論文で 1975 年から 25 倍になり、2014 年にはその年の論文の 8.5% で登場するというデータがあるらしい (7)。くれぐれも乱用は禁物。

名詞

単語 使用例
decade
innovation
evidence

Mass noun であり可算名詞としての用法はないと思われる (1)。したがって、"provide evidence" は使えるが "provide an envidence" とはならない。"provide the evidence" もあまり一般的ではないようである。

facet

「物事の一つの様相」という意味。[fæsit] と発音する。アクセント注意。"aspect" を使うよりもかっこいい。

  • However, there has also been another facet to the question (6).

tool, technology

かっこいい単語ではないが、方法論について記載するときに様々な言葉で修飾されるので、そのパターンをメモしておく。

powerful, useful などの言葉で修飾されることが多い。

動詞

単語 使用例
accomplish 名詞形は accomplishment。
achieve 名詞形は achievement。
decipher

「(暗号や謎を) 解読する」の意味。understand よりもかっこいい。

  • Despite these observations, a function for M1ap in either neuromuscular disorders or acute myeloid leukemia coud not be deciphered, because... (Biol Reprod 88, 1-11, 2013).
emerge

「出現する、浮上する、明らかになる」などの意味。new よりも emerging の方がかっこいい。

  • Now that the capability for human germline engineering has emerged, we urge the international scientific community to engage in this type of dialogue (4).

embrace

「〜を積極的に利用する、採用する」。use よりもかっこいい。

  • We will embrace this technology...

entail

「〜を伴う、必要とする」。need よりもかっこいい。accompany の代わりにも使えるが、accompany 自身もかなりかっこいい単語なので、無理して entail を使わなくても良いだろう。

harness

「結びつける」というような意味だが、combine を使うよりもかっこいい。... harnessed these technologies.

impact

名詞として使うとやや陳腐であるが、動詞として使うとセンテンスに勢いをつけることができる気がする。

  • At some point, decreasing this variable further will impact on mortality, leading to... (3)

形容詞

単語 使用例
tremendous
paramount

「最高位の、傑出した」という意味。robust もかなりかっこいい言葉である。

  • NMR is a robust andreliable technique for metabonomic applications in which high reproducibility is paramount (5).
excellent

Scientific ではないので、論文よりも推薦状などで多用される言葉かもしれない。このほか extraordinary, incredible など。


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論文で使われるラテン語表現

そのうち独自のページを作るかもしてないが、とりあえずはこのページに入れておく。in vivode novo などのラテン語表現の意味と語源は以下の通り。なお、イタリックで記載するのが基本である。

Ref 8 にはもっと多くの表現が載っているが、ここでは生命科学系の論文で使われるもののみに絞ってある。論文では出てこないものに、re (メール の返信時に使われる) や漫画にもなっている Q.E.D. などがある。


単語 意味、使用例など
de novo

「新たに」または「再び」という意味。

生体内で新たに脂肪酸などの高分子が合成されることを de novo 合成という。タンパク質や脂肪酸の合成は、de novo protein/fatty acid synthesis と呼ばれることがある。

e.g.

もとの表現は exempli gratia で、「例えば for example」の意味 (8)。単語の後半部分を省略しており、これをドット "." で表しているので、eg と書くことはできず e.g. とする。これは下記の et al. も同じである。

(e.g. neurons and astrocytes) または (e.g., neurons and astrocytes) のように、コンマはつけてもつけなくても良さそうである。

et al.

もとの表現は et alii で、「およびその他の者 and others」の意味。3 人以上の人名に用いられる (参考: 参考文献の書き方)。al は alii の略なので、al の後ろにのみドットが必要。

et alibi で「およびその他の箇所で」という意味の表現もあるようだが、論文では見たことがない。論文・法律文以外ではおどけて聞こえる (8) らしい。

etc.

et cetra で「... など」。ドットが必要。

i.e.

id est で「すなわち、言い換えれば」の意味。ドットが必要で、コンマの有無は e.g. と同様にあまりこだわらなくて良い。

使い方が似ているが、e.g. は例示、i.e. は言い換えである。

in vitro
in vivo
ex vivo

in vitro は「試験管内で」、in vivo は「生体内で」の意味。

何を「生きている」とみなすかによって、境界が分野ごとに違う。医学、生理学などの分野では、個体が vivo で、取り出した組織や細胞は vitro と表現されることが多い。

もう少し対象物が細かい分野では、細胞が vivo、そこから取り出したオルガネラなどを使った実験が vitro とされることが多い。

中間的な区分として、取り出した組織を使う実験を ex vivo と呼ぶのも一般的である。

in situ

「その場で」の意味。in situ ハイブリダイゼーションが有名。

no.
No.

実はこれもラテン語の numero に由来する (8)。英語の number と同じ意味だが、英語では o が含まれないので、No. の o がどこから来たのか不思議に思っていた人も多いのではないか。

斜体にすることがあまりないのは、一般的になりすぎてしまったからではないかと推察する。

vice versa

「逆もまた然り」の意味。


その他未整理の表現集: 原著論文より

  • The above observations establish beyond any reasonable doubt that the mHSP70 constitutes mitochondrial homolog of the Hsp70 family of protein (2).

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References

  1. Oxford online dictionary. Link.
  2. Singh et al. 1997a. Cloning and some novel characteristics of mitochondrial Hsp70 from Chinise hamster cells. Exp Cell Res 234, 205-216.
  3. Murphy and Partridge 2008a. Toward a control theory analysis of aging. Annu Rev Biochem 77, 777–798.
  4. Lanphier et al. 2015a. Don't edit human germ line. Nature 519, 410-411.
  5. Beckonert et al. 2007a (Review). Metabolic profiling, metabolomic and metabonomic procedures for NMR spectroscopy of urine, plasma, serum and tissue extracts. Nat Protoc 2, 2692-2703.
  6. Dabek et al. 2006a. Transforming growth factor b and cardiovascular diseases: the other facet of the ‘protective cytokine’. Pharmacol Rep 58, 799-805.
  7. 論文原稿や研究発表の最近の傾向の話. たゆたえども沈まず -有機化学あれこれ- Link: Last access 6/24/2017.
  8. 英語で使われるラテン語表現. Link: Last access 07/01/2018.