Reviewer's comments を書くときのための文例集 (Specific comments)

UB3/english/review/review_expressions_specific

このページの最終更新日: 2024/09/30


このページでは、以下のようなコメントをつけたいときに有用な英語表現を集めています。General comments の書き方査読の際のチェック項目 にも文例があります。


  1. 根拠が薄弱、推論が多い
    • 前提、仮説を立てる際の根拠
    • 結果の解釈、Discussion
  2. 論理構造について
    • logic という語の使い方
    • 論理構造についての指摘
  3. 科学的に間違っている、理解していない
  4. 実験の信頼性に疑問
  5. 引用文献が古い
  6. 英語の問題
  7. その他未整理

広告

根拠が薄弱、または推論が多い

前提、仮説を立てる際の根拠

Premise, rationale などの言葉がよく使われる。論文だけでなく、研究費の申請書を書く場合にも、しっかりとした仮説を立てることが求められるが、その前提が不十分であるという指摘である。

  • The premise that the A is due to B, while reasonable, is not particularly strongly supported.

結果の解釈、discussion

  • The authors did not provide evidence that... ("the evidence" is not appropriate grammatically)
  • The authors appear to overextend their interpretation throughout the manuscript.
  • The interpretation of the data is hampered by trying to relate each data.
  • Figure 6 is completely speculative. None of your data sheds any light on these pathways – I would eliminate it.

広告

論理構造について (Logical flow)

論理構造は、英語の出来とは異なる概念である。「どこに何を書くか」ということであり、英語の文法ミスがなくても論理構造がちゃんとしているとは限らない。これは、日本語の学位論文の例などを考えてみれば納得できるだろう。

logic という語の使い方

"written in a logical matter" は数十万件ヒットがあるが、"written in good logic" "written in a good logic" はほとんどヒットなし。

どこかで、logic は論理的であるかどうかという指標であり、定量的な概念ではないので、good も bad もないという話を読んだことがある気がする。logical であるか not logical であって、good とか bad ではない、と。情報ソースがみつかり次第アップデートする。


論理構造についての指摘

論理構造について言及する場合に awkward という言葉を使うことがある。

「書き直し」を意味する場合は、その程度に応じて次のような言葉が使われる。

  • ... and thus this abstract needs to be completely rewritten.
  • ... needs to be revised/reorganized.

また、論文の内容に疑問を抱いてさらなる説明を求めるときには clarify という表現がよく使われる。

  • It is unclear what A refers. A means B? Please clarify.

読みやすさの改善については、"to increase readability" という表現がある。

その他、論理関連のコメント表現メモ。

  • There is a very abrupt transition in the text on line ** (abrupt は不意の、突然の)

科学的に間違っている、理解していない

1 のような指摘をもらったことがあり、丁寧でとても良い表現だと思った。

  1. In the paper, the authors describe *** – leading the reviewer to wonder if they understand what *** is.

用語の間違いを指摘したいけれど、自分の指摘が 100% 正しいかどうか微妙に自信がないときには、次のような付加疑問文が便利である。

  • ... should be A instead of B, shouldn't it?

その他、間違い関連のコメント例。

  • There is an incorrect citation; there is a misleading citation.

実験の信頼性に疑問

Reliability and validily of experiments という表現が用いられることがある。実験に関するページではないが、両者の違いについて述べたサイトがある。

Reliability とは、測定プロセスが安定した結果を生む度合いである (1)。実験の場合は、繰り返し実験を行ったときの再現性、同じ項目を違う実験で測定した場合の一致度などを示す。

Validity とは、測定プロセスが目的 (その項目を測定する) にどの程度合致しているかという度合いである (1)。たとえば、肥満の程度を測るためには身長、体重、腹囲などを測定するのが validity が高く、胸囲、見た目の好ましさ、食事量などは相関があるかもしれないが valid な測定項目ではない。

  • I have some doubts about the reliability and validity of experiments.

引用文献が古い

「自分の論文を引用しろ」と書くのは OK だけど、やりすぎると Editor に悪印象だろう。

  • The cited literature needs to be revised to include more recent studies regarding...

English and style

English

I generally do not feel comfortable with arrogant comments about writing from English-native reviewers. English is not a native languadge for many scientists, and English level does not relate to the scientific significance of the paper. I even think that English correction is the obligation of publishers, not scientists.

I therefore recommend to use polite expressions when you point out shortcomings related to English - just suggesting to have professional corrections.


英語の拙さを指摘する。

  • Unfortunately, the manuscript suffers from poor writing, which utterly ruins the scientific quality of their findings.
  • I pointed out some in my comments, but my attempts to correct the manuscript is very naive.
  • The data are mostly convincing, but writing could be improved to make a stronger manuscript.
  • The English is readable but remains to be improved.

Native speaker による英文校正を勧める。could や some でマイルドさを醸し出す手法が使われている。

  • The paper needs a thorough linguistic revision by English-native scientist.
  • I recommend the authors to make this manuscript edited by English-speaking colleagues to improve readability before it is peer-reviewed again.
  • The MS could use some editing by native speakers of English.
  • (基本よく書けてるけど) a proofreader could catch misuses and make some of the statements a bit clearer.

Style

英語の拙さに対して、タイポ、略称の使い方、コンマが重複、スペースが抜けているなどのスタイルに関する点は、厳しく指摘して良いと思っている。書いた後に著者が読み直していないことを示している ためである。

査読者として一読すれば気づくようなミスが残っているということは、原稿を書いた著者も共著者も一度も目を通していないということで、そんな原稿が高いクオリティを保っているとはほとんど考えられない。

ただし、単に journal format に従っていないというスタイル上の問題なら、これは雑誌側で修正すればいい程度の小さな問題であると思う。複数の雑誌に投稿するときに、いちいちフォーマットを変えるのは手間以外の何物でもないためである。実際、PLoS Biol や eLife などは、初期段階ではどんなフォーマットでも投稿を受け付けており、出版が決まってからフォーマットを整えていくようなシステムになっている。


Abbreviations

「最初に出てくるとき」は at first appearance である。

  • Define abbreviations at first appearance.
  • Spell out ALS at first appearance.

Typo

スタイルが合っていない状態は、error という単語を使うようだ。

  • There are a series of typos, for example (among them): in line 145 ...
  • There are many typos and errors in style...

その他未整理

内容がまとまってきたら整理。

  • エラーバーが中央からずれていることを指摘: 「ずれている」は off to the left/right.
  • 文法などについて指摘するとき、どのようなミスを犯しているのか、どのようなタイプの修正かを簡単に示す場合がある。
    • Plural vs singular agreement:
    • Wording change to avoid redundancy:
    • Alternative wording:

Revision で、最初のコメントが反映されていない。I quote: として自分のコメントと返事を引用するケースも。

  • While the authors have responded to **, there appear to be no efforts made to what I regarded as a serious concern over...
  • The lack of even acknowledging this problem (or question, points etc.) in authors' response is greatly disappointing.

広告

References

  1. Exploring reliability in academic assessment. Link: Last access 6-17-2017.

コメント欄

サーバー移転のため、コメント欄は一時閉鎖中です。サイドバーから「管理人への質問」へどうぞ。