英語論文: タイトルの付け方

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このページの最終更新日: 2024/09/30

  1. 概要: タイトルの重要性
  2. Descriptive title と informative title
  3. 疑問文のタイトル
  4. サブタイトル
  5. 受理、引用されやすいタイトル
  6. タイトルに使われる単語についての考察

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概要: タイトルの重要性

論文において タイトルは最も多くの人が目を通す部分 であり、ゆえに十分な注意を払って決めなければならない。どこかで聞いたことがある格言的なものを 2 つ示しておこう。

  • タイトルは究極のアブストラクトである: 研究の重要なキーワードが、過不足なく入っていなければならない。
  • 科学者は週に 1000 のタイトル、20 のアブストラクト、5 の論文に目を通す: 数の真偽はともかくとして、研究者が論文データベースを検索する作業を考えると、目を通すタイトルの数はその他の部分に比べて桁が違うと言えるだろう。

したがって、タイトルは論文の内容を正確に表し、かつ attractive でなければならないが、誇大広告で他の人の時間を無駄にさせることはあってはならない。また、多くの雑誌の投稿規定で決まっているように、一般的でない略語を使うべきではない。

Descriptive title と Informative title

タイトルは、大まかに 2 つのタイプに分けることができる (1)。名前はいろいろと付けられているようだが、要するに「〜の影響」というような結論を含まないものと、「〜は〜を〜する」というような文章になっているものである。

文献のタイトルから、適当に例を拾ってみる。

Descriptive title

「〜の影響」「〜に関する調査」など、原則的には 結論を含まない タイトルのことをいう。日本語では表示的タイトルと呼ぶようだ (1)。通常は文章でなくフレーズになっており、Effects of... や A comprehensive analysis on... のような形をとる。

ただし、フレーズになっていても Increased metabolism in *** model というように結論を含むものもあるので、必ずしも語の形だけでは分類できないだろう。

日本語だと、語感によるものか descriptive なタイトルが多くなる傾向にあると思う。

  • Brain structure in neuropsychologically defined subgroups of schizophrenia and psychotic bipolar disorder
  • Differential effects of basolateral and apical iron supply on iron transport in Caco-2 cells

Informative title

論文の結論が明確で、シンプルな文章で表すことが可能な場合は 結論を含む informative title をつけることもできる。

この場合、動詞は一般に 現在形 となる。過去形にすると、その研究の内容をただ「・・だった」とするニュアンスになる。しかし、実際にはその研究の内容から何か普遍的な事実が演繹され、その普遍的な事実がタイトルになるわけである。


  • Telomere dysfunction reduces microglial numbers without fully inducing an aging phenotype
  • HIF2α induces cardiomyogenesis via Wnt/β-catenin signaling in mouse embryonic stem cells

疑問文のタイトル

疑問文のタイトルは、人目をひきやすいという利点があるが、上級技である。やや挑発的な印象もある。

  • Can we define maternal age as a genetic disease?

サブタイトル

コロン : を使ってサブタイトルを付けるのも一般的である。パターン分けしてみると、次のようになる。


Study の種類を示す

方法論に重点を置きたい場合などに使われる。例えば 2 番目のタイトルからは、DTI という手法を使って行ったことがこの論文の売りの一つであることが読み取れる。Perspective を示すサブタイトルもここに含めた。

  • Relationship between muscle fiber type and reactive balance: a preliminary study
  • Demyelinatind evidences in CMS rat model of depression: a DTI study at 7 T
  • 3D shape perception in posterior cortical atrophy: a visual neuroscience perspective
  • Systematic review of early exercise in intensive care: a qualitative approach

付加情報を示す

フレーズにしても良いし、列挙してもよい。

  • Flexible use of predictive cues beyond the orbitofrontal cortex: role of the submedius thalamic nucleus
  • A new two-dimensional extended adenine and thiophenecarboxylate mixed-ligand zinc (II) complex: synthesis, structure, thermostability and luminescent properties

本タイトルを短く印象的にする

何か気の利いたフレーズを最初にもってくるというパターンもある。

  • Losing neutrality: the neural basis of impaired emotional control without sleep

受理されやすいタイトル

生態学の論文 6000 報を対象とした解析から、以下のような傾向が発見されている (2,3)。

  • 特定の生物種をタイトルに含む論文はリジェクトされやすく、また引用されにくい。医学論文でも同じ傾向がみられるらしい。
  • 特定の生物種をタイトルに含む論文の数自体も減少傾向にある (2)。
  • サブタイトルを含む論文は、そうでない論文よりもアクセプト率が高い。引用回数に影響はない。
  • タイトルが短すぎる論文、長過ぎる論文はリジェクトされやすい。引用回数に影響はない。
  • 疑問文形式のタイトル、ユーモアを含むタイトルの論文とも、採否および引用回数に影響はない。

ここで、生物種をタイトルに含めるとリジェクトされやすいというのは、非常に悪い傾向である。これは、論文の内容から得られた概念を普遍的なもののように見せるための 誇大広告 であり、科学的に全く意味を持たない利己的な行為 である。もちろん、本当に普遍的な事実を証明している論文ならばこの限りではないが、全ての生物に適用できることを証明するのは事実上不可能であろう。

少なくともこのサイトを見た人は、論文を書く際には生物種をタイトルに含めること、また 査読 の際にそのように指摘することを望む。

タイトルに使われる単語についての考察

Preliminary

Preliminary な結果は論文にすべきでないと言う人もいそうであるが、実際にこの単語はタイトルでよく使われている。2015 年 9 月には、Web of Science で 47 万件がヒットした。サブタイトルにする例が多いようである。

  • The prevalence of prodromal features of schizophrenia in adolescence: a preliminary survey

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References

  1. There is a WILL, there is a WAY. Link.
  2. アクセプト率が高く、引用されやすい論文タイトルの付け方とは? 生態学誌への投稿論文6千報の分析で分かったこと. Wiley Science Cafe. Link.
  3. Fox and Burns 2015a. The relationship between manuscript title structure and success: editorial decisions and citation performance for an ecological journal. Ecol Evol. Open access.

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