英語論文: Abstract の書き方

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このページの最終更新日: 2019/08/08


このページでは、英語、150 - 300 words 程度、1 パラグラフの Abstract の書き方を解説しています。

  1. Nature のガイドライン
  2. 最初に書くべきか、最後に書くべきか?
  3. 書き出し
    • Aim から始める
    • 主要な結果から始める
    • ごく近い背景から始める
  4. その他
    • どこまで詳細に書くか

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Nature のガイドライン

Nature の summary paragraph ガイドライン (1) にある構造が、理想的な Abstract であると考えている。以下のような構造である。

  1. 非専門家でも理解できるような、一般向けのバックグラウンド。1 - 2 文。これは Nature が専門誌でなく、広い読者を対象とするためと思われるが、専門誌でもこのようなイントロはあった方が良いと思う。
  2. Background をやや狭い範囲に絞る文章、2 - 3 文。
  3. Problem の特定。シンプルに 1 文で。しばしば However から始まる。
  4. この論文が、その problem に対してどのように答えを出しているか。Here we show... のような文章である。これがシンプルな一つの文章で表せない場合は、論文のストーリーが十分にフォーカスしきれていないということになるだろう。
  5. 結果を述べる部分。ストーリーが完璧に構成されていれば、間に解釈を挟まなくても意味が通じる abstract になる。せいぜい ..., suggesting that 程度のシンプルな解釈で十分である。結果の説明に長い文章を挟む必要がある場合は、センテンスの順番や導入の仕方を再考する必要があるかもしれない。
  6. 結果の解釈、1 - 2 文。
  7. さらに 2 - 3 文で、全体を broader perspective で説明するような文章を入れても良い。これも一般誌としての性格によるもので、普通の論文の場合は 6 で Abstract を締めるのが普通だろう。

ただし、雑誌によっては「Abstract に aim を含めること」と指定されているものもある。この構造だと、問題点の次にすぐに論文の summary になるので、次のような形ではっきりと aim を指定する文章が欠けていることになる。

  • The aim of this study is....
  • The present study was conducted to...

まあ読めばわかりそうなものだが、aim の文章を含めろと指摘してきた editor もいるので、頭の隅に留めておくとよい。To address this issue などを summary の文章の頭に加えれば、一応 aim として示したような形になるだろうか。


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最初に書くべきか、最後に書くべきか

一長一短であるが、私は最後の方が書きやすい。基本的に コピーペーストで仕上がる ためである。これは、「これから論文を書く若者のために」の極意 「本文できたらアブスト書こうよ 主要なフレーズコピーして ホー!」 に通じる。

主要なフレーズを本文から集めてきて、出だしと結論を最適な形に直せば完成である。


何度も改定が重ねられている 最高の日本語論文執筆ガイド

このサイトの 原著論文の書き方 に関するページの多くは、この本の内容を基盤としている。特に、アルプス一万尺のメロディーに合わせて作られた「論文書きの歌」は、迷惑なことに自動的に頭の中で繰り返し再生されてしまうことがあるほど正鵠を射たもの。

同じ作者の本で、学会発表バージョンレポート・卒論バージョンもあるので、合わせて参考にしたい。

なお、英語の論文執筆ガイドで最高と思う本は Writing Scientific Papers in English Successfully: Your Complete Roadmap である。Kindle 版で $10 程度と安いのでおすすめ。



一方、Abstract を最初に書くことにもメリットがある。全体のストーリーを見渡しやすいということである。

論文の構造上、「Introduction で提示した疑問に、Conclusion でちゃんと答えている」ことが重要である。書いているうちに、この「収束していくイメージ」を見失ってしまいそうな場合には、Abstract を先に書くメリットがある。本文を書くときにやや不自由に感じるかもしれないが。


Abstract の書き出し

上の例に従うと、最初の文章は広いバックグラウンドということになる。しかし、実際には多くのパターンが存在する。


Aim から始める

The aim of the present study is... のような文章で始まるパターンもある。

古い論文かつ専門誌に多い印象があり、その実験のバックグラウンドや重要性をわざわざ Abstract で述べる必要がないと判断されるときに使われるのではないかと思う。

神経の投射先を決める

遺伝子の配列を決める

発生段階の記述


主要な結果から始める

  • This paper describes the quantitative area and laminar distribution of identified neuron populations projecting from areas of prefrontal cortex to subcortical autonomic, motor, and limbic sites in the rat (2).
  • We cloned...

ごく近い背景から始める

論文の内容が、過去の研究の中でも特定のトピックに非常に近いときには、このようなパターンもある。Nature 推奨の形に似ているが、その背景が直接仮説に結びつく ような場合に、大きな背景を述べないため、その省略形と考えても良いだろう。

1 は、統合失調症の患者において、25 歳未満で発症する典型的な病態と、発症が遅い場合での違いが示唆されており、まさにそれを調べた論文の Abstract の出だしである。

  1. Previous research on neuropsychological function among schizophrenia patients suggests that typical onset males (first psychiatric hospital admission before age 25) and typical onset females (first admission after age 25) may exhibit less lateralization of behavioral function (‘hypolateralization’) than atypical onset males and atypical onset females. To explore whether these differences were reflected in corpus callosum area, ... (3)

その他

どこまで詳細に書くか

Abstract に n を記載している論文はあるか? 載せた方がいいのではないかと思うが、あまり意識したことがなかったが、注意して見てみてアップデートする。


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References

  1. Nature summary paragraph guideline. Pdf file.
  2. Gabbott et al. 2005a. Prefrontal cortex in the rat: projections to subcortical autonomic, motor, and limbic centeres. J Comp Neurol 492, 145-177, 2005.
  3. Scheller-Gilkey & Lewine 1999a. Age at onset and sex differences in corpus callosum area in schizophrenia. Schizophr Res 40, 229-235.

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2019-07-20 01:23:45.380284

ed

大学院生です。論文の書き方のページをいつも参考にさせて頂いています!