科学論文のリバイス: 書き方、注意点、表現集など
- 概要: リバイスとは
- コメントに応じた修正方法と author reply の書き方
- 冒頭のお礼の文章
- 指摘された文献を追加する
- 査読者の内容的な質問に答える
- 追加実験をやらずに済ませる
- 査読者が明らかにミスしている場合
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概要: リバイスとは
論文が 査読 コメントとともに戻ってきたとき、そのコメントをもとに原稿を修正し、再投稿する過程を revise (名詞形は revision) という。
一般に、論文のリバイスでは、次の書類を提出することになる。
Author reply |
One to one response などとも呼ばれる。査読者のコメントに対する詳細な返答をまとめたもの。 コメントのスタイルは査読者によって異なるが、author reply では コメントが箇条書きのように並んでいる場合には、それぞれに対して返答をする。コメントが文章のようになっている場合は、一対一で返事をできるように、コメントを細かく分解するのが普通である。 Rebuttal letter と表現されることもある。 |
修正後の原稿 |
文章、図など全て。修正がないものは、初回に投稿したときのファイルを再アップロードしなくてよい場合があるが、これは投稿システムによって異なる。 文章は、 |
このページでは、
コメントに応じた修正方法と author reply の書き方
冒頭のお礼の文章
Author reply は、普通は editor および reviewer に対するお礼から始まる。形式的なものでも構わないが、良い査読コメントをもらった場合には、特別なお礼を書きたくなる。
- Thank you for your valuable suggestions on our manuscript.
指摘された文献を追加する
引用すべき文献を見落としていて、査読者の指摘で追加する場合。まずは一言ゴメンと言って追加する。比較的簡単な修正であり、基本的には歓迎すべきコメントだ。
- We apologize for
this oversight . We now include...
査読者の内容的な質問に答える
これは答えればいいのだが、ポイントは author reply で答え、かつ
これは、指導教官の添削を受ける過程でなんとなく学び、自分で明文化した原則であったが、PeerJ という雑誌の instruction で全く同じことが書かれており安心した経験があった。PeerJ は rebuttal letter の書き方 のページも作っているので、興味のある人は読んでみるといいだろう。
追加実験をやらずに済ませる
査読者は、しばしば追加実験を指示するものである。分野によっては本当に親の仇のようにアレコレ指示されて、非常にストレスが溜まるものである。
この BioMed サーカス で紹介されているコラム (2) の文章に重要なポイントが集約されているように思う。
Rather than reviewing what is in front of them, referees often design and demand experiments for what would be better addressed in a follow-up paper. |
つまり、次の論文の内容とすべき実験を指示しているということ。この他に、論文の結論に影響を与えないような実験を指示することも問題点として触れられている。そうではなく、目の前にある論文を査読すべきということだ。
追加実験をやらずに済ます理由としてよく使われるのは、
"it is beyond the * of this study" で検索すると、scope がほとんど、稀に intention, aim, purpose などという言葉が入る場合もある。
- This is unfortunately beyond the scope of this study and we would like to apply ** in our future studies.
- ... beyond the scope of this study to further (fully, thoroughly, systematically, specifically) investigate...
査読者が明らかにミスしている場合
査読者は、非常にしばしば間違いを犯す。しかし、その場合にも下手に出る。
たとえば gene A knockout mouse を使った論文に対して、査読者が「gene A KO mouse の論文は Smith et al. がもう出している (ので引用せよ、もしくはお前の論文は新規性がない)」というコメントをしたとする。
しかし、実際には Smith et al. は違う遺伝子 gene A' をノックアウトしており、両者に関係はあるものの、gene A KO 論文としては我々が初である。
This comment is mixing up gene A and gene A', which makes us wonder if this reviewer is really qualified to evaluate our manuscript. All negative comments from this reviewer should be regarded と言いたくなるが、こんな状況ならば、わざわざ波風を立てる必要はない。
To the best of our knowledge, Smith et al. knocked out gene A' not gene A.
のように to the best of our knowledge をつけるだけでも雰囲気がマイルドになる。さらに、gene A と gene A' が機能的に近いならば、関連研究として Smith et al. を Discussion に加えるぐらいの態度で臨む。
その他、とりあえず使えそうな表現のメモ。
- We believe that the revised figure will eliminate all confusions, but...
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References
Ploegh, 2011a. End the wasteful tyranny of reviewer experiments. Nature 472, 391.
追加予定
- 論文 navi. Link: Last access 2020/09/27.
- Reviewer response letter の書き方 Part2:理不尽コメント編. Link: Last access 2020/09/27.
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