塩基配列アラインメントの原理と主なプログラムの特徴

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このページの最終更新日: 2021/10/12

  1. Pairwise alignment の定義と原理
  2. 主なアラインメントプログラムの特徴
  3. コマンドラインを使って Clustal Omega を走らせる

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Pairwise alignment の定義と原理理

塩基配列、アミノ酸配列などを特定の規則に従って並べることをアラインメント alignment という。アラインメントされた配列は、図 (Public domain) のような形で表されることが多い。


2 つの配列のアラインメントは pairwise alignment、複数の配列のアラインメントは multiple alignment と呼ばれる。Bioinformatics and Functional Genomics (Amazon link, ref. 4) では、ペアワイズアラインメントは以下のように定義されている。

The process of lining up two sequences to achieve maximal levels of identity (and conservation, in the case of amino acid sequences) for the purpose of assessing the degree of similarity and the possibility of homology.


つまり、アラインメントの際には、maximal levels of identity を達成することが必要である。これは、同じアミノ酸を可能な限りマッチさせるということである。原則として以下の作業が行われ、最適なアラインメントが決定される。


スライド

2 つのアミノ酸配列を順にスライドさせていき、同一なアミノ酸の数を数える。

ABCDDEFIJ
GDCEFHIJ

この状態では 3 番目の C だけが同一であるが、次のようにスライドさせることで D, E, F と 3 個の同一な文字が現れる。こちらの方がより良いアラインメントと言える。

ABCDDEFIJ
  GDCEFHIJ


もちろん、計算はアミノ酸が単に同一か異なるかだけではなく、アミノ酸の構造や機能の違いによって置換にスコアがあり、そのスコアを最大にするようなアラインメントが良いアラインメントとなる。


ギャップの挿入

下のように 1 個 ギャップ gap を挿入することで、一致率をさらに高めることができる。

ABCDDEF-IJ
  GDCEFHIJ


ただし、無制限にギャップを導入できるとアラインメントが成り立たなくなるため、通常 gap の導入にはペナルティが課せられる。例えば、アミノ酸の一致が +10 ポイント、ギャップを 1 個入れると -25 ポイントなどである (3)。そのスコアを最大にするようなアラインメントが採用される。アルゴリズムの異なる様々なアラインメントプログラムが使われている。


シャッフル

得られた結果が偶然ではないことを確認する作業である。

配列の一方をランダムにシャッフルして、スコアの計算を繰り返す。すると、スコアは山形の確率分布を示すことになるだろう。すると、シャッフルしない配列 (元の配列) のスコアがこの分布に対してどれぐらい珍しいものかを P 値という形で算出することができる。P 値が十分に低い場合、配列が元の順番で並んでいることが偶然である可能性が十分に低い、ということになる。

この考え方は一般的な統計検定の考え方と共通し、ブートストラップにも少し似ている。以下のページも参照のこと。


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主なアラインメントプログラムの特徴

名前 特徴
Clustal Omega

かつては Clustal W というプログラムがよく使われてきたが、2015 年 10 月現在では、EMBL のサーバーは Clulstal Omega を提供するようになっている (2)。

Clustal Omega の元論文は、おそらく Sievers et al. (2011)。オープンアクセス論文で、2018 年 10 月現在で 9000 回以上引用されている。

Clustal W

Command line tool は 2021 年でもインストール可能。よく覚えていないが、brew で出たメッセージに従ったはず。

MUSCLE

MUSCLE (MUltiple Sequence Comparison by log-Expectaition) は、2004 年に発表されたアラインメントプログラムである (1)。Clustal W よりも早く、オプションを適切に選べば原則として Clustal W よりも「良い」アラインメントを返すと主張されている (1)。

Command line tool もある (Website)。brew で簡単にインストールできた。

T-Coffee

M-Coffee というものあり、You can use T-Coffee to align sequences or to combine the output of your favorite alignment methods (Clustal, Mafft, Probcons, Muscle, etc.) into one unique alignment (M-coffee) という説明があるが、どういう意味なのかちょっとよくわからない。

コーヒー系のバリエーションが多数あり、例えば Expresso ではタンパク質構造の情報もアラインメントに取り入れているようだ。オリジナルは文献 6 の Notredame et al., 2000 である。

コマンドラインを使って Clustal Omega を走らせる

以下の作業が、2018 年 3 月 1 日時点、Mac High Sierra で有効であった。

  1. このページ からダウンロード、名前を clustalo に変えて好きなフォルダに置く。
  2. chmod +x clustalo を実行し、プログラムを実行する権限を追加。
  3. そのフォルダで、FASTA 方式で保存した テキストファイル を読み込んで実行。

./ clustalo -i seq.txt --


./clustalo --help でヘルプを参照することができる。-i で読み込むファイルを指定。

Output format は表現が少しわかりにくい。

--outfmt={a2m=fa[sta],clu[stal],msf,phy[lip],selex,st[ockholm],vie[nna]} MSA output file format (default: fasta)

とヘルプに書かれている。これは、clustal format でアウトプットしたいときは

./clustalo -i test.txt --outfmt=clu

のように書けということ。

clu は、ウェブの Clustal Omega のように同一塩基にアスタリスクがつく。

A ---------- -GATAGCTAG ---------
B ATCTGACTGA GGATAGCTAG GGCCGAATC
              *********



msf はアスタリスクなし、塩基やアミノ酸の番号つきで - のかわりに ~ になる。

A ~~~~~~~~~~ ~GATAGCTAG ~~~~~~~~~
B ATCTGACTGA GGATAGCTAG GGCCGAATC



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References

  1. Edgar 2004a. MUSCLE: multiple sequence alignment with high accuracy and high throughput. Nucleic Acids Res 32, 1792–97.
  2. Clustal Omega. Link.
  3. Amazon link: Berg et al. Biochemistry: 使っているのは 6 版ですが 7 版を紹介しています。
  4. Pevsner, 2016a.. Bioinformatics and Functional Genomics, 3rd ed.

2016 年の出版で、この分野ではもはや古い部類に入る教科書かもしれないが、データベース検索、アラインメントの基礎が多くのわかりやすい図とともに述べられている良書。

Bioinformatics に欠かせない Linux コマンドも、基礎から丁寧に解説されている。結果としてかなり厚い本になっているが、分量を考えると値段は手頃と言える。

著者が内容を 自分のウェブサイト で公開しており、実際のところ本を買わなくても内容にアクセスできてしまう。


  1. Sievers et al., 2011. Fast, scalable generation of high‐quality protein multiple sequence alignments using Clustal Omega. Mol Syst Biol 7, 539. Link to the paper.
  2. Notredame et al., 2000. T-Coffee: A novel method for fast and accurate multiple sequence alignment. J Mol Biol 8, 205-217.

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