Predatory (ハゲタカ) journal: 定義、リスト、考察など

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このページの最終更新日: 2019/05/06

  1. 概要: Predatory journal とは
    • MDPI は predatory journal か?
  2. 私の意見

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概要: Predatory journal とは

以下のような特徴をもつ科学雑誌を、一般に predatory journal と評する。さまざまなリストが存在する (1)。

  • 査読 が甘い。
  • 掲載料が高い。多くの場合オープンアクセスである。

MDPI は predatory jounal か?

当初は Bearl's list に含まれていたが、MDPI 自身の訴えによって 2015 年に除外されている。Predatory ではないが、査読をした経験から言うと、審査は厳しくない。

生命の起源に関するおかしな論文を発表したという前科もあるようである。ただし、査読をするとクーポンがもらえ、それを掲載料に当てることができる というシステムをとっており、これは大変素晴らしい。他の出版社も見習うべき。


私の意見

毎日のようにメールが来るのはうっとおしいし、いわゆる predatory journal は好きではない。しかし、predatory journal を叩く論説に、現在の科学出版のあり方が理想的であると信じているような雰囲気を感じてしまい、どうも素直に読むことができない。

私の感じている問題点を簡単に整理すると、以下の 3 点である。

  1. 時代は post publication peer-review に向かっている。つまり査読は最低限としてとりあえず publish し、評価はあとから自然と定まってくるという発想。bioRxive などが先駆者。厳しい査読を経ているなら価値があり、査読が甘い (または査読されていない) ものには価値がないという二元論は、この流れに逆行する。査読の価値を過大評価しているように思う。
  2. たとえば Nature Communications の掲載料は $5,200 であり、十分に法外である。「審査はちゃんとしているし、それだけの価値がある雑誌である」という主張はある意味で正しいが、査読者および editor が無料奉仕をしているという点では、たいていの雑誌が暴利を貪っていると言える。この大きな問題を見ないふりして、とりあえずわかりやすい悪である predatory journal を叩くという構図が気に入らない。
  3. Post publication peer-review の話とも関係するが、雑誌名で論文の質を判断してはいけないというのは、科学のかなり根本的な問題点である。いわゆる「一流誌」も、数名の editor が論文の significance を判断するという点において理想的ではなく、捏造やゴリ押しなどの問題があるのは広く知られているところ。ここでも、とりあえずわかりやすい悪である predatory journal を叩くために、この問題のあるロジック (雑誌の質 = 論文の質) を使っているわけである。「欠陥論文」は論文に欠陥があるから欠陥論文なのであって、predatory journal に掲載されたから欠陥論文なわけではない。

別の言い方をすれば、最近の predatory journal を袋叩き具合がどうも 権威主義的 に見えるということ。ニセ科学批判をする人には、科学者と単なる権威主義者の両方が含まれていたことが原発事故で明らかになったように、私は predatory journal よりも権威主義の蔓延の方が将来的に科学に害をなすのではないかと危惧している。



毎日新聞からの引用 (3)。普通の論文だって再現性が問題になっている状況を考えると (2)、この書き方はちょっと問題があるように思う。


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References

  1. List of predatory journals. Link: Last access 2019/04/29.
  2. Bishop 2019. Rein in the four horsemen of irreproducibility. Nature 568, 435.
  3. URL: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190429-00000036-mai-sctch. Last access 2019/04/30.