Cox 比例ハザードモデル分析

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このページの最終更新日: 2024/09/30

  1. 概要: Cox ハザードモデルとは
  2. ハザードとは

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概要: Cox ハザードモデルとは

図のような生存時間のデータがあるとき、log-rank 検定 を使うことで、生存率の差を生存曲線全体にわたって比較することができる。

赤と青の群で、サンプルの背景 (性別、年齢など) が揃えられていれば、log-rank 検定で問題はない。しかし、ヒトを対象とした臨床試験の場合、背景を一致させることは難しいので、データ解析の段階でこれらの影響を調整する必要が生じる。

Cox ハザードモデルは、これらの影響を考慮しつつ、生存時間データを解析するためのモデルである (1)。

Rのveteranデータセット 生存曲線

実験生物学では、基本的に実験動物の背景を揃えた上で実験を行い、結果を比較する。したがって Cox ハザードモデルが登場する機会は少ない。これは原則として臨床統計分野の手法である。また、さまざまな要因をモデルに加える 回帰分析 の一種である。

Cox 回帰モデル、比例ハザードモデルとも呼ばれる。ハザードの比が一定であることを仮定したモデルである。


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ハザードとは

Cox ハザードモデルでは、生存期間や生存割合でなく、ハザード という概念を使ってモデルと作る。

ハザードは、ある時点の瞬間における死亡率 を表し、単位は一般に "人/単位時間" である。時間によって変動する。

たとえば、3 か月目のハザードは、「3 か月目の直前まで生存していた被験者が、3 か月目の瞬間に死亡する確率」である。

Cox ハザードモデルでは、時間とともに変動する「基準ハザード」があり、これに背景が加わって「ある時点におけるハザード」になると考える (1)。


式 1:
ある時点のハザード =
基準ハザード + 背景 (性別、年齢など) + 介入 (治療など) の効果


さらに、以下の仮定をおく。

  1. 基準ハザードは時間とともに変化するが、背景の効果は一定である。
  2. 群が異なっても、時点が同じであれば、基準ハザードは同じである。

ここで、介入の効果を Cox ハザードモデルで求めたいとしよう。

まず、ハザードは実際の生存データから計算することができる。

基準ハザードは、介入の効果がわからないために不明である (式 1)。しかし、2 つの群のハザードがあれば、それらの比をとることで基準ハザードを約分して消去できる (仮定 2)。

したがって、介入効果の比が、ハザードの比として推定できることになる。


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References

  1. 佐藤弘樹、市川度. 2013.

生存時間解析 について平易に書いた数少ない解説書。

統計のなかでも、生存時間解析はそれだけで 1 冊の本になるほど複雑なわりに、ANOVAや t 検定などと違い使用頻度が低いため、とっつきにくい検定である。

この本では、とくに Kalpan-Meier 生存曲線、Log-rank 検定、Cox 比例ハザードモデルを重点的に解説しているが、prospective study と retrospective study, 選択バイアス、プラセボなど、臨床統計実験で重要な概念についても詳しい説明がある。基礎生物学の実験ではあまり意識しない重要な点であるので押さえておきたい。



  1. オッズ比とハザード比:似て全く非なるものーその2. Link: Last access 2022/10/09.

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