因果媒介分析 causal mediation analysis: R による分析

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このページの最終更新日: 2025/01/05

  1. 概要: 因果媒介分析とは
  2. R mediation パッケージによる解析

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概要: 因果媒介分析とは

多くの研究デザインにおいて、要因がアウトカムに及ぼす影響が評価される。図では Treatment と Outcome という言葉で表している。この影響を total effect とする。

Causal mediation解析

Total effect は、treatment による直接の影響 direct effect と、ある要因 mediator を介した間接の影響 indirect effect から成ると考えられる。

Causal mediation解析

この direct と indirect の比を計算するのが因果媒介分析 causal mediation analysis である。

R mediation パッケージによる分析

このパッケージ (3) をとりあえず使ってみた。インストールは簡単で、install.packages("mediation") で問題なし。まずは、マニュアルにあるスクリプトを試してみる。

基本形は、以下のスクリプトのようになる。つまり、まず 2 つの 回帰分析 を行う。一つは X = treatment + 交絡因子, Y = mediator の回帰 (model.m) であり、もう一つは X = treatment + mediator + 交絡因子, Y = outcome の回帰 (model.y) である。

model.y に mediator を含めるのを忘れると、100% が direct effect となってしまうので注意。

マニュアルによると、lm, polr, bayespolr, glm, bayesglm, gam, rq, survreg, merMod の関数が使える。treatment, mediator, outcome の形によって、どの関数を使うか決定する。

Outcome, mediator がどちらも線形のパターン

このスクリプトの結果は、以下のようになる。ACME は average causal mediation effect (indirect effects と同じであるとマニュアルに書かれている)、ADE は average direct effect である。概要 にある三角形を参照するとわかるように、total effect = ACME + ADE という関係が成り立っている。値がマイナスなのは、treatment が outcome に負に作用しているためである。

Prop. Mediated は、total effect のうちどれだけの割合が mediator を介しているかということのようだ。-0.0155/-0.0532 = 0.2914 になりそうなのだが、0.2237 という値になっており、ここはよくわからない。

Causal mediation解析

plot によって、ACME, ADE, Total Effect が下のようにプロットされる。単に Estimate を CI とともにプロットしただけである。

Causal mediation解析

Outcome が二値変数のパターン

Outcome が二値変数で、mediator が ordered つまり 順序尺度 の場合。

この場合、Outcome は 0 か 1 の数値でなければならないようである。Yes, No などの変数ではいけないということ。また、quasi likelihood-based interference は使えないと書かれている。これは多分、glm で特定のモデルを指定しない場合に使われる方法であり、つまり glm の中に family=bimodal のようなモデルの指定がなければならないということを言っているのだと思う。

オプション一覧

boot

TRUE なら nonparametric bootstrap が、FALSE なら quasi-Bayesian approximation が 信頼区間 confidence interval の計算に使われる。デフォルトは FALSE である。

sims

number of Monte Carlo draws for nonparametric bootstrap or quasi-Bayesian approximation, つまり繰り返し試行の数。上の例では 50 だが、Documentation では 1000 が指定されている。


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References

  1. CRAN package mediation. Link: Last access 2024/02/19.
  2. Rによる因果媒介分析1 Baron-Kenny法. Link: Last access 2024/02/19.
  3. Tignley et al., 2014a. mediation: R package for causal mediation analysis. Journal of Statistical Software, 59, 1–38.

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