R の dbrda() 関数

UB3/informatics/r/dbrda

このページの最終更新日: 2024/09/30

  1. 概要: dbrda() 関数とは
  2. どんなプロットが論文に載っているか
  3. dbRDA メモ

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概要: dbrda() 関数とは

dbrda は、群衆組成の違いを環境変数で説明する関数である (3)。どうも重回帰分析のようである。

dbrda についてのほぼ唯一の日本語資料である文献 3 の内容をそのままなぞるだけだが、このページにまとめてみる。

組み込みデータセットを使っているのかと思ったが、このページ にあるサンプルデータを使っている。csv ファイルとしてダウンロードする。

spcdat.csv は、個体数のデータである。縦にサンプル (採集地点、ヒトのマイクロバイオーム解析なら被験者になるだろう)、横に species がきて、数値は個体数 abundance である。15 地点、102 種を含む 15 x 103 のデータであるが、一部のみ例として載せておく。

dbrda サンプルデータ

envdat.csv は、同じ 15 地点の環境変数のデータである。地点の情報は含まれていないが、この 15 行は spcdat.csv の 15 地点に対応している。11 種の環境変数があるため、15 行 x 11 列のデータとなっている。

dbrda サンプルデータ

これらをそれぞれ dat, edat として読み込み、文献 3 「Rによる群集組成の解析」にしたがって解析する。ここでは dbrda の使い方がメインなので、変数の分布チェックや変換などは飛ばす。

一応 psych でチェックすると、ちゃんと相関が出力される。

dbrda サンプルデータ

さらに文献 3 の通りに

res1.rda <- dbrda(dat~., data=edat, distance = "horn")

とすると、Error in dfun(X, distance) : input data must be numeric というエラーメッセージ。SiteName という列が文字列データなので、これがいけないのかと思い dat2 を以下のように設定して再トライ。一応結果が出力された。

dat2=select(dat, 2:length(dat)) res1.rda <- dbrda(dat2~., data=edat, distance = "horn")

dbrda サンプルデータ

とりあえずこの関数を動かすためには、サンプル番号なしの metadata (環境要因の数値データ) と、サンプル番号を含む species data (種ごとの個体数データ) が必要であることがわかった。

この図は、

文献 3 では、続いて anova.cca という関数を使っている。重回帰であるところの dbrda の有意性を調べているようである。RDocumentation によると、The function performs an ANOVA like permutation test と書かれているので、どうも permutation test という検定を行っているらしい。

Permutation test は、カタカナでパーミューテーション検定と呼ばれることもあるが、日本語に訳すなら「並べ替え検定」のようだ。このページ の説明がわかりやすい。

もともとは 2 群の検定であり、両群のデータ数は固定したまま、データをランダムに入れ替える。入れ替えた群について統計値を算出し、オリジナルの統計値と比較する。2 群に本当に差があるならば、データ入れ替え後には、オリジナルの群よりも有意になる確率が低いはずである。考え方としては、ランダムサンプリングによって新しい群を作る bootstrap 法 と似ている。anova.cca は、複数の群でこれを行うテストである。

さらに、ordistep() 関数を用いて変数選択を行っている。これで変数を減らすと、説明可能な部分は減るが、回帰自体は有意になることが示されている。この ordistep() には、ordiR2step() というバリエーションもあり、こちらでは adjusted R2 と P 値に基づいた forward model choice のみを行う。

これらの関数についての参考ページ。

どんなプロットが論文に載っているか

作図の参考にするため、論文から RDA 解析の図を拾ってみる。

まずは Zhao et al. Sci Rep 8, 6116, 2018 より。A はバクテリア、B は真菌がそれぞれプロットされており、矢印には pH、organic matter (OM) などの環境要因がある。4Y, 18Y などはサンプル。論文に書かれている解釈は以下の通り。

  • まず、含めた環境要因がバクテリアおよび真菌で total variation のそれぞれ 42.42% および 51.50% を説明した。これは軸の RDA の横にある数字の和である。
  • バクテリアでは、4Y と 18Y が近く、26Y および 57Y とは RDA1 で分けられる。26Y および 57Y は RDA2 で分けられている。
  • Proteobacteria, Nitrospira, Bacteroidetes は 4Y, 18Y サンプルに多く、soil OM と相関が強い。平面上で近くにあるということ。
  • Acidobacteria, Firmicutes は、それぞれ N および EC と associate している。
  • 真菌でも同じような解釈が書かれているが、これは省略。
Zhao et al., 2018. RDAの図

dbRDA メモ

下記のエラー。原因はいろいろあるかもしれないが、まずチェックするのは「全てが 0 であるサンプルがない」こと (2)。全てが 0 の場合、distance が計算できないのでこのエラーになる。

Error in if (max(X) >= 4 + .Machine$double.eps) : missing value where TRUE/FALSE needed


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References

  1. 最近読んだ論文のメモ: 環境要因と群集構造の比較法 (CCA, RDAなど). Link: Last access 2023/08/07.
  2. Error missing value where TRUE/FALSE needed when running metaMDS in R. Link: Last access 2023/10/24.
  3. Rによる群集組成の解析. Link: Last access 2022/05/10.

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