ホモログ、オーソログ、パラログ、アナログ、ゼノログの定義と違い
UB3/informatics/bioinformatics/homolog
このページの最終更新日: 2024/09/30広告
相同 homologous
ある遺伝子や形態が
- Two molecules are said to be homologous if they have been derived from a common ancestor (1).
- Two sequences are homologous if they share a common evolutionary ancestory (2).
遺伝子の塩基配列や、タンパク質のアミノ酸配列をアラインメント alignment して計算される塩基・アミノ酸同一率 nucleotide/amino acid identity を homology ということがあるが、これは「配列が似ていれば、両者は共通祖先に由来する」という前提に基づいた用語で、厳密には誤りである。
Convergent evolution であったり、塩基・アミノ酸配列が偶然に一致したりする可能性を想定すると、このような場合には homology でなく identity を使わなければならない。DNA などは基本的に 4 種類しか塩基がないわけで、ランダムな配列でもそれなりの一致率になる。
Homologous なタンパク質の例: ヘモグロビン、ミオグロビン、β-グロビンは全て共通祖先に由来する相同なタンパク質である。
オーソログ、Orthologous
複数の種に homolog が存在するとき、それらが類似または同一の機能をもっているとき、それらを
- Orthologs are homologs that are present within different species and have very similar or identical functions (1).
- Orthologs are homologous sequences in different species that arose from a common ancestral gene during separation. Orthologs are presumed to have similar biological functions (2).
「類似または同一の機能をもっているとき」という限定は、以下のような場合に重要となる。つまり、例えばヒトのインスリンとヒトのインスリン様成長因子-I は paralog であり、ヒトのインスリンとマウスのインスリンは ortholog である。しかし、機能の異なるヒトのインスリンとマウスのインスリン様成長因子-I まで ortholog としてしまうと、範囲が広すぎて混乱を招く。このために、「それらが類似または同一の機能をもっているとき」という限定がかかっているのである。
Orthologous なタンパク質の例: ヒトのヘモグロビンは、マウスのヘモグロビンと互いにオーソロガスである。
パラログ、Paralogous
一つの種に homolog である遺伝子が複数存在する場合、それらは
Ortholog が、新しい種が生じることによって生まれるのに対し、paralog は一つの種において遺伝子がゲノム内で重複することによってできる。したがって、遺伝子重複との関連で定義されることもある。
- Paralogs are homologs that are present within one species (1).
- Paralogs are homologous sequences that arose by a mechanism such as gene duplication (2).
Paralogous なタンパク質の例: ヒトの α-グロビンと β-グロビンは互いにパラロガスである。
アナログ、Analogous
同じ機能をもつようになったが、祖先が共通していないものをいう。
ゼノログ
Homologous な遺伝子が水平伝播によって他の生物に移った場合、それらの遺伝子間の関係は
広告
References
- Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。
- Amazon link:
Pevsner 2016. Bioinformatics and Functional Genomics. - By <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/User:Evolution_and_evolvability" title="User:Evolution and evolvability">Thomas Shafee</a> - <span class="int-own-work" lang="en">Own work</span>, CC BY-SA 4.0, Link
コメント欄
サーバー移転のため、コメント欄は一時閉鎖中です。サイドバーから「管理人への質問」へどうぞ。
アップデート前、このページには以下のようなコメントを頂いていました。ありがとうございました。identity と homology に関する記述を変更しました。
2018/09/04 11:44 「identityを使う方が望ましい」というより、この意味でhomologyを使うのは「誤り」です。ランダム配列を並べても10%くらい一致することは珍しくありません。 2018/06/27 15:33 それぞれの例をもう少し載せてくださると理解が深まるのですが。どうもまだピンときません。お手数をおかけします。 |